雪 (2)






――残り風がおだやかに硝子戸に当たっている。

日暮れ近く

いつかそれもひっそりと凪いで

ふと嘘のような静けさがきた。



ひとときその静けさを追うように

曇天の半空から

盛んに雪が溢れてくる

戸の外を急に明るくして

思いつめていっときに雪は来る雪は来る。

夥しい大粒の雪が斜かいに硝子戸を打つ!



冷えのきつい薄ぐらな部屋の中

素朴な感慨が私の胸を通りすぎる

おおこれだったのか

終日あのようにきびしく荒れていたものは。

私を痛めつけていたものは!



玉一詩集