星空に寄せて





                     ――倉敷天文台


知られざる存在に向かって僕の心は常に動く

深い天体の青みどろの中に

またたく未知の星を求めて

今宵巨大な星空の下に僕は立つ



――時に僕の目は

ながいさすらいの中で不安に曇り

焦燥に心をむしられることがある。

疲労と倦怠で心は腐り

なにもかも投げ棄てて

夜ごと墜ちてゆく流星のはげしい光芒に

身も心もまかせたい衝動にかられることがある。

孤独な僕よ

勇気を出して

倦むことを止め自分の心を痛みながら過ぎてゆく失せやすきものに

辛抱強く目を注ぐことをせよ

――未知の星は

つねに墜ちてゆく星の向うから

一瞬幽かにまたたいてくるものだから……



気の遠くなるような星空を仰ぎ

月光で濡れた翼をひろげ

今宵僕は

無辺際な天体の中にさまよい出る

輝く未知の星を求めて



玉一詩集